キャリア選択2026-09-07監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

北陸の施工管理、公共工事と民間工事どちらを選ぶか―年収と働き方の違い

この記事の要点

「うちは公共工事がメインだから、景気に左右されにくいですよ」——面接の場でそう言われた瞬間、正直「本当にそうなのだろうか」と僕は心の中で問い直していました。

結論から申し上げると、北陸は全国と比べて公共工事の比重が高めの地域性があると、僕は現場を見てきた体感として捉えています。ただしそれは「公共工事の会社が安泰で、民間工事の会社が不安定」という単純な優劣の話ではありません。発注者が国・自治体か、企業・個人かによって、日々の働き方も、評価される力も、年収の伸び方の質も変わってきます。皆さまがこれから北陸で施工管理としての転職先を選ぶときの軸として、この記事で一つずつ整理していきたいと思います。

0. 結論――優劣ではなく「向き不向き」で選ぶ

先に僕の結論をお伝えします。安定した納期とルールの中で着実に仕事を進めたい方には公共工事寄りの現場が向いていますし、変化の速さや裁量の大きさにやりがいを感じる方には民間工事寄りの現場が向いている、というのが率直な体感です。年収の絶対額だけを比べると民間工事の方が上振れしやすい傾向はありますが、それは裏を返せば下振れもしやすいという意味でもあります。この記事では、その差がどこから生まれるのかを、統計と現場の実感の両方から見ていきます。

1. 北陸で公共工事比率が高いと言われる背景

国土交通省の「建設工事受注動態統計調査」では、元請完成工事高を公共機関からの発注分と民間からの発注分に分けて集計しています。全国ベースで見ると、公共工事の比率はここ数年おおむね3割前後で推移してきました。一方で北陸3県は、大都市圏に比べて大規模な民間の再開発案件や商業投資の絶対量が少なく、道路・河川・上下水道・港湾といった公共インフラの更新工事が地域の建設需要の中で相対的に大きな割合を占めやすい構造にあると僕は考えています。

1-1. 除雪工事という北陸独自の公共案件

北陸ならではの事情として、冬季の除雪工事や消雪装置の維持管理も自治体発注の公共案件として位置づけられていることが挙げられます。夏場は道路改良、冬場は除雪関連という形で、通年で公共工事の仕事量が平準化されやすい会社が北陸には一定数存在すると僕は感じています。

1-2. 数字の裏取りは自分でもできる

実際の公共・民間比率は年度・県・自治体の予算執行状況によって変動しますし、僕の手元の一次資料でも県別の正確な数字までは追い切れていません。ここでは「北陸は公共工事の比重が全国平均より高めに出やすい地域性がある」という体感値としてお伝えします。応募先企業の実際の内訳を知りたい場合は、経営事項審査(経審)の総合評定値通知書や、上場企業であれば有価証券報告書のセグメント情報に、公共・民間別の完成工事高が記載されていることが多いので、面接前に確認しておくと質問の質が上がります。

2. 公共工事寄りの施工管理――働き方とメリット・デメリット

公共工事は発注者が国や自治体であるため、工期・仕様・予算が年度単位である程度固まっています。これは現場で働く僕らからすると、突発的な仕様変更が少なく、書類のフォーマットや検査の流れが型として決まっているという意味で、「段取りが読みやすい」現場だと言えます。実際に北陸のある土木施工管理の方から伺った話ですが、河川改修工事の現場では、月ごとの出来形管理と工事写真の整理さえ丁寧に押さえておけば、大きな手戻りはほとんど発生しなかったそうです。

一方でデメリットとしては、年度末(1〜3月)に工事が集中しやすく、この時期の残業や休日出勤が増える傾向があることと、予算の範囲内での施工が前提になるため、コスト面での裁量が民間工事に比べて小さいことが挙げられます。北陸の場合、この年度末の繁忙が積雪期の工程調整とも重なりやすく、除雪待ちで工程が後ろ倒しになった分を年度末に取り戻す動き方が生まれやすい、というのが僕の体感です。

3. 民間工事寄りの施工管理――働き方とメリット・デメリット

民間工事は発注者が企業や個人であるため、仕様変更や工期短縮の要望が工事の途中で入ることが珍しくありません。北陸新幹線の延伸に伴う駅前再開発や、金沢・富山の商業施設、物流施設の建設など、民間投資が動く場面では、施工管理者の裁量と交渉力が問われる場面が公共工事より多いと感じています。うまく回せば、原価管理や工程短縮の工夫がそのまま利益や評価に直結しやすく、若手でも早期に大きな現場を任されるチャンスがあります。

他方で、施主都合の変更や資材価格の変動リスクを現場レベルで吸収しなければならない場面も多く、精神的な負荷は公共工事より高くなりやすいというのが僕の体感です。「今週で図面が3回変わった」という声を、僕は民間工事の現場を担当する方から実際に何度も聞いたことがあります。変更への対応力そのものがそのまま評価につながる分、向き不向きがはっきり出やすい働き方だとも言えます。

4. 年収・評価・キャリアの分かれ方(比較表)

ここまでの働き方の違いは、評価のされ方や年収の伸び方にも影響してきます。以下は僕が北陸の求人票や転職相談を通じて観測してきた傾向を、目安値として整理したものです。実際の金額は会社規模や資格の有無によって大きく変わりますので、あくまで比較の参考としてご覧ください。

観点公共工事寄り民間工事寄り
年収の伸び方年功・資格に連動して緩やかに上昇実績・裁量次第で上振れも下振れもしやすい
繁忙期の傾向年度末(1〜3月)に集中しやすい施主都合の変更で通年不規則になりやすい
評価される力書類・工程管理の正確さ交渉力・原価管理・臨機応変さ
雇用の安定感予算の裏付けがあり比較的読みやすい受注状況・景気の影響を受けやすい

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」でも建築・土木・測量技術者の平均年間賃金は公表されていますが、公共・民間の別までは集計されていません。この表はあくまで僕自身が北陸の求人票や転職者の方々からのヒアリングを積み重ねて得た体感値であることを、正直にお伝えしておきます。

5. どちらを選ぶか――3つの判断軸

皆さまが実際に選ぶ際は、次の3つの軸で自分に問いかけていただくのがよいと僕は考えています。

  1. 年収の「上振れ」より、繁忙期や仕事量の「読みやすさ」を優先したいか。
  2. 年度末の繁忙より、施主都合による通年の不規則な変化に耐性があるか。
  3. 書類・工程管理の正確さと、交渉力・原価管理のどちらに自分の強みがあるか。

この3つに明確な正解はありません。ただ、いずれか一つでも即答できない項目があれば、次の面接で発注者の内訳や繁忙期の実態を具体的に質問してみることを僕はお勧めします。実際に僕が面談の場で「御社の完成工事高のうち公共と民間の比率はどれくらいですか」と聞いてもらうようお伝えすると、それだけで面接官の反応が変わり、その場で本音の話が引き出せたという声もいただいています。

6.(結論)公共か民間かは、優劣ではなく自分の働き方の軸で選ぶ

北陸は公共工事の比重が高めの地域性があると申し上げましたが、それでも民間工事を中心に成長している地場ゼネコンも数多くあります。大切なのは、どちらが「安定している/儲かる」かではなく、皆さまがどんな働き方で力を発揮しやすいかという軸で選んでいただくことだと僕は考えています。

皆さんいかがでしたでしょうか。公共工事と民間工事、それぞれの現場のリズムを知った上で、自分に合った一社を見極めていただければと思います。では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 北陸の建設業は公共工事が多いって本当ですか?

国土交通省の統計上、全国の公共工事比率はおおむね3割前後で推移していますが、北陸3県は大型の民間再開発案件が少ないことから、公共工事の比重がやや高めになりやすい地域性があると僕は体感しています。ただし正確な県別数値は年度で変動するため、応募先企業の経営事項審査などで個別に確認するのが確実です。

Q. 公共工事と民間工事、施工管理として年収が高いのはどちらですか?

一概には言えませんが、民間工事は実績や裁量次第で年収が上振れしやすい一方、下振れのリスクも伴います。公共工事は資格や年功に連動して緩やかに上昇する傾向があり、僕の体感では『読みやすさ』を取るか『上振れの可能性』を取るかという判断軸になります。

Q. 転職の面接で公共・民間の比率を聞いても失礼になりませんか?

失礼にはあたらないと僕は考えています。むしろ『御社の完成工事高に占める公共・民間の比率はどれくらいですか』という質問は、繁忙期や評価基準の実態を具体的に把握するための実務的な質問であり、面接官の本音を引き出すきっかけにもなります。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

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