働き方・処遇2026-08-24監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

積雪と冬季閑散期が北陸の施工管理の仕事・収入に与える影響

この記事の要点

「雪、また積もったな……明日の朝、現場動くかどうか怪しいな」

北陸で施工管理をしている方なら、冬にこの手のセリフを何度も交わした経験があるのではないでしょうか。僕は普段、金沢・富山・福井の現場担当者や転職希望者と面談する中で、冬になると決まって話題に上るのがこの「積雪と仕事量・収入の関係」です。結論から言うと、北陸の施工管理は冬に完全に止まるわけではありませんが、工種によって稼働日数が目に見えて減り、それが収入や働き方にも影響します。今日はこの実態を、公的統計と現場の体感値の両方から整理していきます。

0. 結論 — 冬の北陸で施工管理として働くとはどういうことか

先に僕の結論を書いておきます。北陸の冬は、土木工事を中心に稼働日数が減り、地場企業では除雪対応という「もう一つの仕事」が重なり、給与体系によっては収入も変動する——この3点が北陸特有の冬季事情だと考えています。ただしこれは全職種・全会社に一律で当てはまるわけではなく、工種や雇用形態、会社の人員配置の仕方によって差が大きいというのも同時にお伝えしたい実感です。この記事で使う数字は、僕が北陸の現場担当者や転職相談者から実際に聞いてきた体感値であり、公的統計の裏付けと合わせて根拠を示しながら進めます。

1. なぜ北陸の現場は冬に止まるのか — 積雪と工程の関係

気象庁の気象統計情報を見ると、北陸3県はいずれも日本海側特有の積雪地帯に位置し、平年値ベースで見た最深積雪はおおむね数十センチ規模、山間部ではさらに多くなる地域が広がっています。県によって傾向差はあり、僕の体感でも富山は平野部でも積雪が多く出やすい年があり、金沢・福井は年による振れ幅が大きい印象です。記憶に新しい方も多いと思いますが、2018年2月には福井県内で記録的な大雪が続き、国道で車両の立ち往生が相次いだニュースを覚えている方もいるのではないでしょうか。あの年は除雪車自体が不足し、地場建設会社の重機オペレーターや施工管理職まで動員される事態になったと、当時を知る福井のベテラン監督から聞いたことがあります。

こうした積雪は土木工事の工程に直接影響します。コンクリートの打設は気温が下がると養生期間を延ばす必要があり、掘削や盛土を伴う土工事は積雪・凍結で作業効率が落ちます。国や自治体が発注する公共工事では、こうした事情を踏まえて冬期休止期間や工期の延伸措置が設けられている工事も一定数あります。福井のある土木系の現場代理人から聞いた話ですが、1月に大雪が続いた年は盛土工事の進捗が計画から3週間近く遅れ、年度末の工期に間に合わせるため2月に休日出勤で挽回したそうです。結果として、土木系の現場では12月〜3月にかけて工程が薄くなる、あるいは室内でできる準備工程に振り替える、という調整が起きやすくなります。一方、建築の内装・設備の改修など屋内中心の工事は積雪の影響を受けにくく、冬でも通常ペースで動くことが多いというのが僕の観察です。

2. 除雪という「もう一つの仕事」— 施工管理・技能職に起きること

北陸の地場建設会社を語るうえで欠かせないのが、道路除雪業務の受託です。自治体は冬季の道路確保のために地元の建設会社と除雪委託契約を結んでおり、除雪機械や人員を保有する会社は冬季の待機・出動要員としてスタッフを割り当てます。この対象に施工管理職や現場作業員が含まれるケースは珍しくありません。

僕が以前、富山のある地場ゼネコンの若手施工管理担当に話を聞いたとき、「大雪注意報が出た夜は携帯を手放せない、深夜2時に出動要員として呼ばれたこともある」と話してくれました。翌朝は通常どおり本業の現場に入るため、体力的な負担は決して小さくありません。実際にあった失敗のパターンとして、入社前に除雪業務の説明を受けておらず、初めての冬にいきなり深夜呼び出しの対象に組み込まれて驚いたという新卒2年目の方の話を聞いたことがあります。雇用契約書には「業務命令があれば従事する」程度の記載しかなく、本人は「まさか施工管理の自分まで駆り出されるとは思わなかった」と話していました。

対照的な例もあります。石川のある中堅建設会社では、入社時のオリエンテーションで「冬季は除雪出動の当番表を組む」「対象は入社2年目以降」「出動1回につき手当を支給する」と具体的に説明しているそうです。この会社に転職した方は「事前に聞いていたから、実際に呼ばれたときも戸惑わずに済んだ」と話していました。同じ除雪対応でも、事前説明の有無だけで受け止め方は大きく変わります。もちろんこれは全社員に一律で課される仕事ではなく、配属先や役職、会社の人員体制によって差があります。ただ、求人票には明記されないことが多い実務なので、面接時に「冬季の除雪対応はありますか」と直接聞いてみることを僕はおすすめしています。

3. 冬季の収入はどう変わるのか — 稼働日数・手当・賞与の実態

稼働日数が減ると、給与体系によっては収入への影響が出ます。日給月給制の会社では、出勤日数に応じて給与が変動するため、冬季に現場が止まる日が増えると手取りが目減りしやすい構造です。僕がヒアリングしてきた体感値では、土木系で日給月給制の会社の場合、12月〜3月の実働日数が平常月比で目安1〜2割ほど減り、それに連動して月収が数万円単位で下がったという声を複数聞いています。たとえば日給1万2千円・平常月20日稼働を基準とする会社で、冬季の稼働が18日に減ったとすると、単純計算で月2万4千円ほど収入が目減りする計算になります。実際には除雪手当や内勤業務への振替で穴埋めされることもありますが、何も手当がない会社だと、この差がそのまま生活費の圧迫につながります。

一方、月給固定制を採用している会社では、年間を通じて工事量を平準化する工夫(冬場に見積・積算・研修などの内勤業務を組み込む等)をしていることが多く、収入の振れ幅は小さくなる傾向があります。賞与についても、冬季の売上減を反映して夏冬の査定基準に差をつけている会社と、年間平均で一律査定している会社があり、これは会社ごとの人事制度次第です。除雪出動がある会社では、別途「除雪手当」を支給しているケースもあり、これが冬季収入の目減りを一部補う形になっていることもあります。僕が知る限りでは、同じ石川県内の土木系の会社でも、日給月給制のA社と月給固定制のB社を比べると、A社の社員は冬の手取り明細を見るたびに気持ちが沈むと話していたのに対し、B社の社員は「冬でも給料が変わらないから積算の勉強に集中できる」と話していました。会社選びの段階でここまで差が出ることを、僕は実感を持ってお伝えしたいです。

工種・雇用形態冬季の稼働への影響収入への影響の出方
土木・日給月給制大きい(工程が薄くなりやすい)手取りが目減りしやすい
土木・月給固定制やや大きい内勤振替等で安定しやすい
建築・屋内工事中心小さいほぼ変化なしのことが多い
設備(電気・管工事)現場による(屋外配管工事は影響あり)会社の受注構成次第

4. 職種別・雇用形態別に見る冬の働き方の差

ここまでの内容を職種軸でも整理しておきます。土木の施工管理は冬季の影響を最も受けやすい職種です。屋外作業が中心であることに加え、除雪業務を兼ねる地場企業が多いためです。建築の施工管理は、内装・仕上げ工程が冬季に集中する現場も多く、むしろ屋外土工事が減る分だけ仕事が回ってくるという声も僕は聞いたことがあります。電気・管工事などの設備系は、新築の屋外配管や引き込み工事は積雪の影響を受けますが、改修・更新工事は屋内中心のため影響が限定的です。

僕が同時期に話を聞いた二人の20代施工管理担当を例に出します。一人は富山の土木系会社に勤める男性で、冬は除雪当番と現場の工程調整が重なり、「1月〜2月は正直しんどい、寝不足のまま現場に出た日もある」と話していました。もう一人は金沢の建築系会社に勤める女性で、冬は屋内の仕上げ工事が繁忙期にあたり、「むしろ雪で現場が止まる心配がない分、夏より計画通りに進む」と話していました。同じ北陸の施工管理でも、工種が違うだけで冬の過ごし方はここまで変わります。雇用形態で見ると、正社員で月給固定制の会社は年間を通じて収入が安定しやすく、逆に一人親方や日給制の技能職は稼働日数の減少がそのまま収入減に直結しやすい構造です。転職を考える際は、この「工種×雇用形態」の掛け合わせで冬の働き方がどう変わるかをイメージしておくと、入社後のギャップを減らせると僕は考えています。

5. 冬に強い会社を見分ける — 転職前のチェックポイントと、よくある失敗

最後に、実務的なチェックポイントを整理します。具体的な動き方として、僕がいつもおすすめしているのは次の順番です。

  1. 求人票を読む段階(所要5分):稼働日数や賞与欄に「通年」「季節変動あり」などの記載がないか確認する。
  2. 一次面接前(所要15分):質問リストに「冬季の平均稼働日数」「除雪業務の有無と対象範囲」「給与体系(日給月給か月給固定か)」の3点を必ず入れておく。
  3. 面接後(当日中):聞いた回答をメモに残し、他社と比較できる形にしておく。

ここでよくある失敗にも触れておきます。一つは、求人票の月給欄だけを見て「これなら冬も安心」と判断してしまうケースです。実際には日給月給制で、月給欄には平常月の想定額しか書かれていなかった、という相談を僕は何度も受けてきました。対処としては、面接で「この月給は年間を通じて変動しますか」と一言確認するだけで防げます。もう一つの失敗は、除雪業務について面接で聞かず、入社後に初めて存在を知るパターンです。悪気があって隠されているというより、会社側が「当たり前の仕事」として説明を省いてしまうことが多いようです。こちらも、こちらから質問すれば大抵は具体的に答えてもらえます。数字で答えられる会社は、冬季の工程管理を計画的に行っている可能性が高いと僕は見ています。除雪業務自体が悪いわけではなく、事前に分かっていれば準備できる話なので、隠さず聞いて問題ありません。さらに、冬季に内勤業務(積算・見積・資格取得支援の研修など)を用意している会社かどうかも見てほしいポイントです。閑散期を「暇な時期」で終わらせず、次のシーズンに向けたスキルアップの時間として設計している会社は、社員の定着にも意識が向いていることが多いというのが僕の実感です。

(結論)

北陸の施工管理は、冬になると工種や会社の体制によって働き方と収入が大きく変わります。土木系は稼働日数が減りやすく、地場企業では除雪対応という追加の仕事も発生する。給与体系によっては手取りに差が出る。この構造を知らずに転職すると「思っていた冬と違った」というギャップが生まれやすいと僕は感じています。逆に言えば、事前にこの3点を確認しておけば、北陸の冬は決して怖いものではありません。皆さんいかがでしたでしょうか。では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 北陸の建設現場は冬にどれくらい休みになりますか?

完全に止まるわけではありませんが、屋外の土木工事を中心に稼働日数が減る傾向があります。僕が北陸の現場担当者から聞いてきた体感値では、12月〜3月の実働日数は平常月比で目安1〜2割ほど減ることが多く、豪雪の年はさらに落ち込みます。一方、建築の内装工事や設備の改修工事など屋内作業が中心の現場は影響が小さく、通年でほぼ変わらないペースで動くこともあります。工事の種類によって差が大きいと考えてください。

Q. 除雪の仕事は施工管理でも担当することがありますか?

あります。北陸の地場建設会社の多くは自治体から道路除雪業務を受託しており、その場合は施工管理職も冬季の待機・出動要員に組み込まれることが一般的です。深夜や早朝の出動待機が発生し、本業の工程管理と並行して対応する形になります。全社員が対象ではなく部署や配属現場によって差がありますが、応募段階で除雪業務の有無を確認しておくと入社後のギャップを減らせます。

Q. 冬季の給与や賞与は下がりますか?

会社の給与体系によって差が出ます。稼働日数に連動する日給月給制の会社では、冬季に稼働が減ると手取りが目減りしやすい構造です。一方、月給固定制で年間の工事量を平準化して人員配置している会社は、冬季でも収入が安定しやすい傾向にあります。賞与についても、冬季の売上減を反映して夏冬で査定基準が変わる会社があるため、求人票の給与欄だけでなく面接で稼働と賞与の関係を確認することをおすすめします。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

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